眼瞼下垂?目の下のたるみを放置すると…
下まぶたのたるみに関するギモン
目元の『眼瞼下垂』にご用心!
目の下をはじめ、目元のたるみを放置していると症状は悪化し、自宅でのケアだけでは改善が見込めなくなります。さらに恐ろしいのは、ただのたるみではなく「眼瞼下垂」という病気につながってしまうこと。
眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がってきたり、開けづらくなったりする症状です。
まぶたを開けたり閉じたりする運動には、まぶたを持ちあげる「眼瞼挙筋」と、瞼板と眼瞼挙筋の間にある「ミュラー筋」が関わっていますが、眼瞼挙筋が外れてまぶたがたるんだり、筋肉を動かす動眼神経という神経の働きが悪くなると眼瞼下垂が発生します。
まぶたは加齢にともない垂れてくるため一概に病気とはいえませんが、視界が狭く生活に支障をきたしたり、目が疲れやすくなったり、肩凝りや頭痛が悪化した場合には治療を考えるべきでしょう。
加齢による衰えだけが原因ではなく、コンタクトレンズを長時間使用している方や、まぶたをよくこする方は陥りやすく、ケガや手術をした後に起こることもあります。
目のたるみがこんな症状につながる!
目のたるみを放置して眼瞼下垂に陥ると、瞼が開閉しにくく視界が狭まるだけでなく、体中にあらゆる不調が現れるようになります。
眼瞼下垂にお悩みの方に多くみられる症状が、頭痛、肩凝りです。
まぶたが下がってくると、顎をあげて視界を広げようとする動きを体が自然とするようになり、正面を向いているときも、通常は上を見るときにしか収縮しないうなじや額の筋肉がいつも収縮し続けるようになります。筋肉の緊張が強まることで肩に疲労がたまってしまい、肩凝りを起こすようになり、腰痛や、ひざの痛みを引き起こすなど全身にも症状が及びます。
また、疲れがたまるようになったと感じるのも、眼瞼下垂が原因かもしれません。ミュラー筋を収縮させないと目を開くことができませんが、ミュラー筋を収縮させるためには交感神経の働きを活発にさせる必要があります。常に心身が緊張してしまうことで疲れやすくなり、不眠症になることも。
さらに、原因は解明されていませんが、眼瞼下垂の治療を受けることでめまいが改善することが多いようです。メニエール病や良性発作性頭位眩暈などでも、眼瞼下垂の治療により治ることもあるのだとか
さらに悪化すると重度の症状まで…
目のたるみを放置し眼瞼下垂が悪化すると、肩凝りや頭痛などの全身症状が悪化するだけでなく、心身ともに異常が現れ他の病気を併発する恐れがあります。
眼瞼挙筋が外れてまぶたがたるんだ場合、ミュラー筋の負担が突然増大します。ミュラー筋は交感神経と関わっているため、負担が続くと気分が張りつめ気分障害や不安障害が現れ、不眠症やうつ症状が現れるようになります。
交感神経に異常をきたすことで、冷え症、多汗症が悪化したり、便秘や下痢を起こしやすくなったり、血流障害が原因となる膀胱炎、口内炎などに繰り返し悩まされるようになります。
学会では、目のたるみを放置し眼瞼下垂になると眼球の後ろにある副交感神経を刺激して喘息になることが報告されていますし、目の周りや顔面の痙攣も、眼瞼下垂が原因であることが多いです。
他にも、手足のしびれ、スムーズに喋れない、肩関節の挙上障害など、実にさまざまな症状が報告されています。
このような症状に陥らないためにも目の下を含め、目元のたるみが気になる方は放置したりせず、眼瞼下垂になる前に適切なケアを受けるようにしましょう。
眼瞼下垂とは?皮膚のたるみが眼瞼下垂を引き起こす?
眼瞼下垂とは、単一の病名ではなく、上まぶたが何らかの理由で垂れ下がり、目を開けづらくなったり、黒目(視界)が塞がれたりしてしまう“状態”を指します。そして、一口に「眼瞼下垂」といっても、その原因や症状には幾つもの種類があります。
人間の皮膚は、加齢に伴う老化や、紫外線の影響(光老化)などで組織が劣化し、その結果として徐々に垂れ下がっていくようになります。そして上まぶたの皮膚がたるんでしまうと、目を開けようとしても、垂れ下がったまぶたのせいではっきりと目を開けることが難しくなる場合もあるでしょう。特に一重まぶたで、まぶたに脂肪が多い人では、たるみが起こりやすくなり、眼瞼下垂の症状が現れやすいと考えられています。
一方、皮膚のたるみが原因でなく、その下にある“まぶたを持ち上げる筋肉”が劣化したり損傷したりして引き起こされる眼瞼下垂も少なくありません。
そもそも、「目を開ける」という動作には通常、目の周りにある複数の筋肉が関係しています。その代表例がまぶたの裏側にある「眼瞼挙筋」や「ミュラー筋」などです。通常、眼瞼挙筋は、コラーゲンによって作られている「瞼板」に張り付いています。瞼板は上まつげのすぐ下にある組織で、目を閉じた時に下りてくる部分です。つまり、眼瞼挙筋が収縮して瞼板を上に引っ張り上げることで、まぶたが持ち上げられます。
この他、眼瞼挙筋の下部、より瞼板に近い部分にミュラー筋があり、これもまぶたの開閉を助ける筋肉です。ミュラー筋は、人の興奮を司る交感神経に支配されており、意識がはっきりしている時(交感神経優位の状態)では、緊張して収縮しています。逆に、眠くなってきて、安静を司る副交感神経が優位の状態になると、ミュラー筋が弛緩して、まぶたがとろんと下がったようになるのです。
さて、眼瞼挙筋が劣化したり、眼瞼挙筋と瞼板との結合がゆるんだりしてしまうと、まぶたを持ち上げようとしても上手くいかず、常にまぶたがたるんで眠たそうに見えたり、視界が覆われたりしてしまいます。また、無理矢理にまぶたを持ち上げようとして、眼瞼挙筋に強い力を込めることで、常にその周辺が緊張状態に陥ってしまう場合もあるでしょう。同時に、無意識にミュラー筋を刺激してまぶたを持ち上げようとすることもあります。
このように、眼瞼下垂の原因には「皮膚のたるみ」と「筋肉の劣化」という2つが主なものとして挙げられますが、必ずしもどちらか一方だけが理由とは限りません。むしろ、皮膚のたるみも筋肉の劣化も老化現象の一種であり、実際60歳以上の3~4人に1人は多かれ少なかれ眼瞼下垂症であるという報告もあります。
尚、筋肉の動きを司る運動神経などに異常を来して、筋肉の動きが低下した結果生じる眼瞼下垂も存在します。
眼瞼下垂の原因は?放置するとどうなる?
眼瞼下垂の原因の一つとされる「皮膚のたるみ」は、加齢や光老化などが大きな原因とされていますが、一方の「筋肉の劣化」には複数の原因が考えられます。
例えば、眼瞼下垂には先天的なものがあります。生まれつき眼瞼挙筋などの動作に支障を来しているような場合、赤ちゃんの頃から眼瞼下垂の症状が現れます。
対して、後天的な眼瞼下垂の原因は、長時間のパソコン使用、長期間のコンタクトレンズの使用、まぶたを強くこする癖、花粉症・アトピー、脳梗塞の後遺症、ケガや美容整形手術の失敗など、決して少なくありません。特にパソコン・コンタクトレンズの使用や花粉症などは、現代人にとって身近なものと言えるでしょう。
問題は、皮膚のたるみも筋肉の劣化も、基本的には少しずつ進行していくということです。そして、一度でも起きてしまった皮膚のたるみや筋肉の劣化は、自然に治癒する可能性は限りなく低く、眼瞼下垂を放置すると、症状は悪化していく一方になります。
ただし、眼瞼下垂には筋肉の疲労が原因で一時的に現れているだけのものもあり、まぶたが開けにくいと感じたからといって、すぐに自分はひどい眼瞼下垂なのだと不安を抱くことは禁物です。
眼瞼下垂が引き起こす症状とは?
眼瞼下垂の症状が現れてくると、視界を確保しようとして、あごをしゃくり上げるように前を見たり、おでこの筋肉でまぶたを引き上げようとしたりという動作を取るようになります。また、常に目の周囲に力を込めて、緊張状態を維持するようにもなりがちです。
すると、目だけでなく首など様々な部位の筋肉が疲労して、余計に症状がひどくなったり、頭痛や肩こりに悩まされたりしやすくなります。さらに、精神的にも悪影響が出てしまい、不眠症や自律神経失調症、うつ症状などを引き起こす可能性も少なくありません。外見的にも、目が小さくなったり、おでこや眉間にシワが増えたりと、様々なトラブルが現れます。その他にも、単純に視界が悪くなったせいで、転倒や事故のリスクも増えてしまうでしょう。
眼瞼下垂の簡単セルフチェック法
まぶたがたるんでいるように見えるからといって、必ずしも眼瞼下垂だとは言い切れません。しかし、セルフチェックによって「自分が眼瞼下垂ではない」と確認することは可能です。
- 1.鏡を顔の正面に用意する。
- 2.顔の力を抜いて、目を閉じる。
- 3.おでこなどに力を入れず、目を開ける。または眉毛の部分を指で押さえて、目を開ける。
- 4.まぶたが完全に持ち上がって黒目がはっきり見えたり、眉毛を押さえたままで目を開けられたりすれば、眼瞼下垂の可能性は低い。
自分が眼瞼下垂かも知れないと気になる人は、早めに眼科などを受診することが賢明でしょう。
眼瞼下垂の治療法とは?
筋肉が原因の眼瞼下垂は、伸びてしまった眼瞼挙筋を切って短くしたり、眼瞼挙筋と瞼板を人工的に再結合したりする手術によって、治療することが可能です。これらは一般的に健康保険が適用され、費用もさほどかかりません。
一方、皮膚のたるみが原因で生じた比較的軽度の眼瞼下垂では、まぶたの皮下脂肪を除去したり、余分な皮膚を切除したりする手術が主な治療法とされていますが、これらの多くは保険適用外の美容整形として区分されています。
目の周りの手術は外見を大きく変えてしまうリスクもあり、しっかりとした医療技術と実績を持っている専門医に任せることが肝要です。
眼瞼下垂は放置せず、早めの対処を心がけよう
眼瞼下垂によって、視界が狭くなったり、たるんだような見た目が気になって外へ出なくなったりすれば、その後の人生に悪影響を及ぼします。眼瞼下垂は治療できる症状です。早めの対処で明るい人生を謳歌しましょう。